June 30, 2022

メンタルヘルス – ブレインテック用語解説

メンタルヘルス(mental health)とは、心の健康・精神的な健康のことを指す。

世界保健機関(WHO)の2022年6月のレポートでは、メンタルヘルスは下記のように記載(定義)されている。

人々が人生のストレスに対処し、自分の能力を発揮し、よく学び、よく働き、地域社会に貢献することを可能にする精神的な幸福(ウェルビーイング)の状態。精神的健康(メンタルヘルス)は健康と幸福の不可欠な要素であり、精神的障害がないこと以上のものである。

 A state of mental well-being that enables people to cope with the stresses of life, to realize their abilities, to learn well and work well, and to contribute to their communities. Mental health is an integral component of health and well-being and is more than the absence of mental disorder.

また、精神的障害(mental disorder)は下記のように記載されている。

国際疾病分類第11版(ICD-11)で定義されているように、精神障害とは、個人の認知、感情調節、行動において臨床的に重大な障害があり、精神および行動機能の基盤となる心理的、生物学的、または発達的プロセスの機能不全を反映していることを特徴とする症候群である。

As defined by the International Classification of Diseases 11th Revision (ICD-11), a mental disorder is a syndrome characterized by clinically significant disturbance in an individual’s cognition, emotional regulation, or behaviour that reflects a dysfunction in the psychological, biological, or developmental processes that underlie mental and behavioural functioning.

精神的障害には、うつ病や不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害などがある。

世界的にメンタルヘルス障害は大きな課題である

Mental health conditions are widespread, undertreated and under-resourced

Mental health conditions are widespread, undertreated and under-resourced. World mental health report: World Health Organization; 2022. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO.

The global prevalence of mental disorders in 2019

The global prevalence of mental disorders in 2019. World mental health report: World Health Organization; 2022. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO.

世界保健機関(WHO)の2022年6月のレポートによると、2019年時点で下記の統計がある。

  • 全世界で8人に1人(9億7,000万人)が何らかの精神的障害をかかえている
  • そのうち71%が治療を受けていない
  • 9億7,000万人の精神障害者のうち82%が低中所得国に集中している
  • 9億7,000万人のうち3億100万人(31.0%)が不安障害、2億8,000万人(28.9%)がうつ病

メンタルヘルスの治療法として瞑想が取り上げられつつある

ストレスやうつなどのメンタルヘルスの問題に対して、脳科学の領域でも瞑想(meditation・メディテーションやmindfullness・マインドフルネス)の有効性が認められ始めている。例えば、2020年に開催された欧州神経科学学会連合フォーラム(ヨーロッパ最大の脳神経科学の学会)では、瞑想のメンタルヘルスへの有効性を議論する特別パネルディスカッションが設けられていた。

fMRIや脳波系などを用い、瞑想中および瞑想後の脳の変化やその心理面への効果が科学的に検証されつつある。数千年の歴史を持つ瞑想が、現代科学により再度光を当てられていると言える。

リラックス効果をもたらすブレインテック

カナダのInteraXon社は、自宅で瞑想ができるEEGヘッドバンドを販売している。

ヘッドバンドを装着し、額の位置にある電極で測定する脳波をリアルタイムで分析し、瞑想がうまくできているかどうかを判定する。音(森の音や波の音など)をフィードバックすることで、より高い瞑想状態になるように誘導し、リラックスをしたり、感情をより制御できるようにニューロフィードバックを用いて訓練をする製品である。

メンタルヘルス領域を対象にしたブレインテックには、ニューロフィードバック以外にも生体信号を使ったバイオフィードバック、VR、電気刺激、ゲーム(デジタル療法, digital therapeutics)など様々なアプローチで取り組む企業がある。

 

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参考文献