論文誌eNeuroに掲載された研究では、バイノーラルビートによるうなりの周波数がθ帯(7Hz)とγ帯(40Hz)になる2種類の音を用意し、さらにバイノーラルビートによるうなりと同じうなりを両耳から聞かせるモノラルビートとも比較しました。
その結果、バイノーラルビートとモノラルビートの両方で、皮質の脳活動がビートの周期に同期して活動することが確認されました。
さらに、バイノーラルビートを聴かせた時、脳の遠くはなれた部位間での同期度合いが高まりました。

一方で、実験に参加した被験者にどれくらいリラックスできたか、あるいは実験中にどれくらい音に没頭したかを聞いたところ、どのような音を聴かせても変化はありませんでした。

この実験では、バイノーラルビートによる気分の変化は見られなかったとしつつも、脳の離れた部位間での同期がみられたことから、それが記憶力や集中力を高めることにつながっているかもしれないため、引き続き調査が必要と結論づけています。

Hector D. Orozco Perez, Guillaume Dumas, Alexandre Lehmann. Binaural Beats through the Auditory Pathway: From Brainstem to Connectivity Patterns. eNeuro 17 February 2020, 7 (2) ENEURO.0232-19.2020; DOI: 10.1523/ENEURO.0232-19.2020