これまでの研究でも、心肺機能の高い人ほど聴力がよいということが示されていました。
今回の研究では、筋力・体力と聴力との因果関係を調査するため、追跡調査が行われました。

平均年齢49歳の、難聴ではない21,907名の参加者が集められ、最初に体力測定を行いました。測定したのは握力、垂直跳びの高さ、目を閉じて片足でのバランス能力、前屈、反応時間です。
およそ6年間の追跡調査中、2,765人が難聴と判定されました。

体力測定の結果に基づき、体力が最も低いグループから最も高いグループまで、参加者を4等分した上で難聴の発生率を分析すると、体力が最も低いグループに比べ、体力が高いグループほど、難聴になる割合が減りました。
個別の体力測定との関係では、垂直跳びの高さと片足バランスの能力が高いほど難聴になりにくいという結果でした。

背景にあるメカニズムについて完全には解明されていませんが、血圧が高いほど難聴になりやすいという研究があり、また運動を継続的にしている人は血圧が下がることから、運動をすることで血管系が健康になり、聴力が維持される・難聴になりにくいということが考えられます。

Kawakami, Ryoko et al. A Prospective Cohort Study of Muscular and Performance Fitness and Risk of Hearing Loss: The Niigata Wellness Study. The American Journal of Medicine, Volume 134, Issue 2, 235 – 242.e4