この研究では、アメリカの平均年齢61歳の退役軍人で、アルツハイマー病にかかっていない649,605人を対象に追跡調査を行いました。

最初に、研究開始時点でのその人たちの心肺機能を測定します。
心肺機能とは、体内の酸素が筋肉にどれだけうまく運ばれているかや、運動中に筋肉がどれだけ酸素を吸収できるかを示す指標で、トレッドミル・テストによって成績をつけます。
テストの成績に従い、心肺機能が最も高いグループから低いグループまで5つのグループに分け、平均で9年間、アルツハイマー病の発症の有無を追跡調査しました。

その結果、最も心肺機能が低いグループは、1,000人あたり9.5人の割合でアルツハイマー病を発症したのに対し、最も心肺機能が高いグループでは、発症した割合は1,000人あたり6.4人でした。
他の3つのグループについては、心肺機能が低い方から順に8.5人、7.4人、7.2人で、心肺機能が高いほど発症する割合が下がります。

また、アルツハイマー病のリスクに関係する要因は心肺機能以外にもあるため、それらの要因を排除するようにデータを調整・分析したところ、最も心肺機能が高いグループは、最も低いグループよりもアルツハイマー病を発症する確率が33%低いことも分かりました。

このことから、日頃から運動をして心肺機能・体力を高めることで、アルツハイマー病のリスクを減らせると研究者は考えています。