July 21, 2022

アメリカDARAのプロジェクト、神経回路を磁気刺激して0.5秒で羽を開く

ハエの特定の神経回路を磁気で刺激して0.5秒で羽を広げさせることに成功

ライス大学などの研究チームは、ハエの神経細胞を下記のように操作する新しい技術を開発しました。

  1. 遺伝子工学を使い、熱に反応して開くイオンチャネルを神経細胞に発現させる
  2. 磁場をかけると発熱するナノ粒子を脳に注入する
  3. 電磁石を用い、外部から無線で磁場をかけてナノ粒子を発熱させ、ハエを操作する

磁場をかけられたナノ粒子が発熱し、その熱に反応してイオンチャネルが開き、神経細胞が活性化することで、ハエの羽を開くようコントロールしました。今回の方法により、神経回路の活性化をこれまでの50倍高速化することに成功しています。

この研究は、DARPAのN3プログラムから資金提供を受けたMOANAプロジェクトの成果

アメリカ国防総省の機関であるDARPAは、非侵襲、あるいは低侵襲のブレイン・マシン・インターフェイスを開発するN3(Next-Generation Nonsurgical Neurotechnology)プログラムを進めています。

今回の研究は、N3プログラムの元で資金提供されているMOANAプロジェクトの成果です(MOANAはMagnetic, Optical and Acoustic Neural Accessの略)。

MOANAプロジェクトでは、脳の活動を非侵襲で読み、かつ書くことができるワイヤレスのヘッドセットを開発し、失明した患者の視力を回復させたり、脳と脳の間で直接通信するなどを目標にしています。

低侵襲の技術で実用化に近づくブレインテック

今回開発された技術は、遺伝子の改変やナノ粒子を脳に注入する必要があり、完全な非侵襲ではありません。このような技術が発展し、低侵襲・非侵襲で脳活動を高精度に読み書きできる脳科学の技術が開発された時、実用化に向けて大きく前進するでしょう。

N3プログラムの進捗はこれまでなかなか表に出てこなかったので、今回の研究発表はうれしく思いました。

論文は下記よりご覧ください。
Subsecond multichannel magnetic control of select neural circuits in freely moving flies

 

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