August 17, 2022

地震波の解析技術を応用して脳を画像化する

(画像はMarty, P.ら)

地震波から地球内部の構造を可視化する技術を応用して、超音波を用いて脳を可視化する

地震が起きた時、地震の波が地球の内部を伝播していく過程で異なる岩の層にあたると、境界面で波が反射したり屈折します。その波を地表で観測して分析することで、地球内部の構造や岩石の組成、密度、圧力などを推定することができます。

それと同じ考え方で、頭に超音波を当て、音波の伝搬の結果を分析することで、脳を高解像度で画像化する技術の開発が進められています。

超音波による脳画像診断は、放射線被曝がなく持ち運び可能な小型の装置になりうる

脳組織の種類ごとに密度が異なり、そのため超音波の減衰や伝搬速度が異なることが実験から分かっています。この事実から、音波の伝搬が通常と異なっている時、それが腫瘍なのかどうかといった診断が可能になります。

脳を画像化する既存の装置としてCT(コンピュータ断層撮影)がありますが、少量ですが放射線による被曝があります。また、MRI(磁気共鳴画像装置)は高価で、持ち運ぶことができません。

超音波画像診断は、放射線被曝がなく、安く、ポータブルな装置にできると考えられています。

イノベーションのジレンマになりえるブレインテック

今回紹介した超音波画像法は研究途上であり、臨床の現場に登場するまでにはまだ長い道のりがあると、研究者自身が述べています。

しかし、放射線被曝がなく、安く、持ち運べて、簡易的に診断できる装置ができたとき、CTやMRIを置き換えないまでも、かなり大きな市場を開くのではないかと筆者は思いました。

学会発表の内容は下記のリンクにあります。
Full-waveform ultrasound modeling of soft tissue-bone interactions using conforming hexahedral meshes

 

 

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