May 12, 2023
電気刺激で高齢者のエピソード記憶が向上する意外な脳の場所とは
ポルトガルのコインブラ大学を中心とした研究チームが高齢者の脳を12日間電気刺激したところ、エピソード記憶能力の向上が刺激後4ヶ月以上にわたって持続することが分かりました。The cerebellum is causally involved in episodic memory under agingという論文です。
右の小脳への電気刺激がエピソード記憶を向上する
60歳以上の高齢者を被験者とし、右小脳の頭皮上の位置に陽極の電極を配置し、微弱な直流電流を20分間流します。これを12日間繰り返しました。
比較対象として、左の背外側前頭前野にも電流を流すグループや電流を流さないグループも設けました。
実験前後でエピソード記憶能力を測定するタスクを実施すると、右小脳に電流を流したグループが有意に能力が向上し、その効果は4ヶ月後も持続していました。
小脳は運動だけでなく認知や感情にも影響することを証明
小脳といえば、運動処理に関わっていると考えられていますが、それだけでなく認知や感情、言語性ワーキングメモリ、複数の神経信号の正確なタイミング判定などにも関わっていることが明らかにされてきています。今回の研究では、小脳がエピソード記憶に関係していることを、介入実験により示したものです。
高齢者向けの記憶力向上デバイスに応用できるかも
小脳の位置から、ネックバンド型のワイヤレスイヤホンのような形で、電気刺激をすることで高齢者の記憶力を向上し、生活の質を高めるデバイスなどに応用ができるかもしれませんね。
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